仮想通貨関連株が注目を集めている中、国内大手証券会社の松井証券の社長「松井道夫氏」が、2018年と2017年の年頭挨拶(インタビュー)で仮想通貨(ビットコインなど)の技術であるブロックチェーン について言及をしています。
今後注目されているシステムだからこそ、松井社長の時代の流れを読んだ発言と言えるのではないでしょうか。
松井社長2017年の年頭挨拶
証券業界の異端児、松井道夫が描く「美しい人生」https://t.co/IVBjY1eq02
— NewsPicks (@NewsPicks) 2018年5月11日
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フィンテックが金融業界で注目を集めています。松井証券が1998年に始めたネット株取引はフィンテックの典型例であり、それが強烈な破壊力で既存の秩序を変えていったのは、この十数年の経緯を辿れば明らかです。
ブロックチェーンは、インターネットに適当な日本語訳がないように、新しい概念ですから上手く訳せません。現実空間での凄まじい量のデータ(ビッグデータ)が、仮想空間に伝達されAIがそれを処理し、現実空間に戻されて人間行動に繋がっていく、そうしたサイクルみたいなものと私は勝手に解釈しています。情報だけで動く金融業界は、こうした新たな仕組みと親和性が高く、その洗礼を最も早く受けると思います。フィンテックはいずれブロックチェーンの一環として進化していくでしょう。
ビットコインで知られる仮想通貨がありますが、これはブロックチェーンの一例にすぎません。証券取引所のような中央集権的機関があり、こうした複雑な仕組みを維持する為のコストは当然高くつきますし、何よりもタイムラグから生じる様々な不公正事象を引き起こします。
ところがブロックチェーンの世界では、分散システムも中央集権システムも必要なくなり、情報は仮想空間で大量に且つ瞬時に処理されますから、恐ろしいほどの低コストで、しかも堅牢なセキュリティと厳格なコンプライアンスを担保して、従来システムの代替となります。これにブロックチェーンが入り込めば、機能は格段に上がりコストは格段に下がります。遠い将来の話ではありません。私が所属している経済同友会では、こうした議論が活発にされており、2020年(東京オリンピック)頃から本格的に始まるだろうという意見もあります。
松井社長2018年の年頭挨拶
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2017年のそれは「ブロック・チェーンが世の中を変える」というものでした。それはそれとして、どうも変化のスピードを読み違えたようです。これからの1年間はこれまでの10年間に匹敵しますから、うかうかしてられないなあと感じました。
AIの急激な進化は人類社会に大いなる可能性を齎(もたら)してくれるでしょうが、重要なのは、AIをどう利用するかではなく、それに伴う新たなる概念を創ることです。換言すれば、これまで常識だった言葉の新たなる「定義づけ」です。
ところで、「世の中を変える」ブロック・チェーンは、資本市場の概念そのものを変えるでしょう。ブロック・チェーン技術が生み出したものに暗号通貨(クリプトカレンシー:Cryptocurrency )があり、現在様々なものがありますが、代表的なのはビットコインです。日本では “ 仮想通貨 ” と訳されていますが、それを使った資金調達である ICO ( Initial Coin Offering :イニシャル・コイン・オファリング 日本語訳はまだありません)が、世界のベンチャー企業に広がっており、日本でも昨年辺りから出始めました。
株式や債券の発行市場・流通市場で成り立っていた資本市場の概念に変化が生じているということです。仮想通貨は、売買に伴う送金や決済にとどまらず、資金調達にまで及んできたという点で、冒頭申し上げたように、変化のスピードは予想以上です。
けれども、紆余曲折は当然あるとして、この流れを阻んではなりませんし、阻むこともできないでしょう。資本市場の概念が変わることを商機と捉え、新しい資本市場を発展させる為にも、それを世の中に適合させていく方策を探ることが何より重要です。フィンテック( Financial Technology :金融 IT)を道具として使い、これを考えていきたいと思います。